尿管結石の予防
当院は救急をやっているため、ときおり尿管結石の方がいらっしゃいます。あの痛みは経験した人しか解りませんが、かなり激烈なようです。痛みが治まった帰り際に必ず、「また繰り返さないためにはどうしたらいいですか?」と聞かれます。少し長くなりますので、ここでまとめてみようと思います。(今回は羊土社から出ている林寛之先生の著書が良くまとまっていたのでここから引用させていただきます)
「水分を良く取ること」
一日2リットル以上の水分をとることにより、再発の可能性を半分に減らすことができるという研究結果が出ています。確かに結石になる方は、だいたい脱水気味の状態の時によく緊急来院されています。2リットルも飲めないよ‥‥という方は、すぐに「同じ水分ならビールを」と考えてしまいがちですが、ビールは炎症を強めたり、結石の原因の一つである尿酸のもととなってしまうので、何とも言えません。一方でワインの効果が高く、グレープフルーツはむしろ再発の原因となるという結果も出ています。
また脱水気味になる朝方の発作予防として眠前の水分摂取も大切ですし、運動やサウナ、あるいは長距離運転など脱水になりがちな機会には積極的に水分を取ってください。
「カルシウム」
結石の原因はカルシウムだから、カルシウムを制限される方がいらっしゃいますが、これは正しくありません。身体にとってカルシウムもとても大切で、十分な摂取が必要です。制限した方がかえって結石なる危険性が高いという報告まであります。乳製品は制限する必要はないのです。蓚酸の多いほうれん草を食べるときには、カルシウムの多い鰹節をつけるとか、紅茶やコーヒーにはミルクを足すなどのカルシウムを加えた方が再発をふせぐと言われています。
「動物性タンパクと青魚」
これは先ほどの尿酸を増やすことも原因となるし、尿の酸性度を上げて結石ができやすくなると言われています。お肉は週5~7食までとし、一日2度の肉類の摂取は避けた方が賢明でしょう。一方で、青魚に含まれる脂肪には結石を減らす作用があります。こちらは積極的にとることをお勧めします。
「他の食事と薬」
塩分は8~10g程度にひかえ、蓚酸の多いほうれん草や紅茶、チョコレートや豆類は避けた方が良いようです。飲み続けないといけませんが、尿の酸性度を改善したり、尿酸値を下げる薬などでいくらか結石の予防効果が望めるものがあります。医師と相談の上、内服を検討してください。