「肥満」


 あらためて述べるまでもなく、太っていることを苦にされている方はたくさんいらっしゃいます。我々も「食事と運動」と口を酸っぱくして言っても、その効果ははかばかしくありません。これだけでは医者といっても芸がなさすぎる、と自分の体重増加をきっかけに肥満解消の方法を調べてみることにしました。
 本・テレビで数多紹介あるなかで、2003年10月15日NHK放送「ためしてガッテン」の「ダイエットに成功する本当の理由」を紹介します。(「ためしてガッテン」をキーワードにホームページを探していただければ詳しい内容がご覧になれます) つい最近おこなわれた日本心療内科学会でも類似の方法で有効性を示す発表があったなど、方法が理にかなっていますし、取りかかりやすいと思います。
 まずグラム単位まで図れる体重計を購入して下さい。1日2回、決まった時間に体重測定をします。(私はものぐさで1日1回ですが) その値をグラフにして記載します。(視覚的に訴える方が効果的なのですが、数字を記載していく形でも良いと思います) 体重が増減した理由を記載します。(いい訳を書けば十分です。あまり反省しすぎないように) 以上です。
 糖尿病には血糖値、高血圧には血圧など、客観的な数字に置き換えることが大切です。体重は言い訳が通用しませんし、また簡便に測定できます。体重計に乗ることそのものがストレスになる方もいらっしゃいますが、まずは「減らなくてもいい」という気持ちで体重計に乗り、いい訳をたくさん書き込んでうっぷんを晴らして下さい。
 この方法は、もとの体重に戻そうとする無意識を、客観的な数値で自然に修正する効果を生み出します。視覚的に訴えると効果が増すのはそのためです。

また自分でいい訳を書くのですから、誰のせいにもできないところに意味があります。他の誰かから言われるよりも、自分で気づくことは生活改善の原動力になりやすいものです。
少しずつ勉強もしていくとよいでしょう。外食が多かったり、すでに野菜中心で食べている方で食事内容が改善しにくい場合、いくつかの事を知っているとためになります。ご飯・パン・麺類・脂分といった部分は控えめに、しかしその他の肉・魚・豆・野菜などはしっかりとって下さい。入院される方でカロリー制限が必要な場合、実はご飯の量でカロリーを調節しています。これはカロリーを抑えても、タンパク質やビタミン・微量元素などはしっかりとる必要があるからです。これらがないと取ったエネルギーが消費されづらくなり、低カロリーでも体重が落ちなかったり、女性であれば冷え性のもとにもなると考えられています。また最近多い脂肪肝はアルコール摂取のためだけではなく、ご飯や麺類ばかり摂取して他の副食をとらないために、糖分が十分に利用されずに肝臓にたまっていることが少なくありません。私もご飯・麺類が大好きですが、最近はちょっと控えて効果を出しています。
 できるかぎり早めの夕食を。寝る前の食事は太る、というのは本当です。できるだけ夕食は早い時間に。できないようであれば朝や昼をしっかりとり、夕食は軽いものにするか、軽く補給するぐらいにしましょう。
 飲み会や接待が多い方は、ダイエット宣言をしましょう。仲間や協力者を作ることは、意志の弱い自分の大きな助けになります。また失敗をしてもくじけないことが大切です。私も飲み会のたびに体重が増加します。ゆっくりでいいのです。一日一日を積みかさねていきましょう。
 「運動、食事」よりは少し進んだ肥満解消指導、効果のほどを聞かせて下さい。

ダイエットの方法

 前回は体重測定の大切さについて書きました。今回は、自分のダイエット、あるいは他の人のダイエットや、話題になっているダイエット本「いつまでもデブと思うなよ」(岡田斗司夫著)を読んで考えた、ダイエットの方法についてです。

 ダイエットの方法は星の数ほど出てきては消えています。そのほとんどは一時的には効果があっても続かずにリバウンドしてしまうか、やることが大変でドロップアウトしてしまうか、のようです。
 例えば何かを食べるダイエット、「これを食べれば、後は好きに食べて飲んでも痩せられる」というたぐいのダイエットは、その食品を食べ続けなければいけません。やっている間は効果があるのですが、いつかは飽きてしまいます。
 運動で言えば、ビリーズブートキャンプではありませんが、やっている間は確実に痩せますが、とても続けられない。ドロップアウトしてしまう。こうしたものが少なくありません。
 いくつもの事柄を検討してみましたが、結局残ってくるのがカロリー制限をした食事と、定期的な運動です。最後は基本に戻ってしまいます。しかし、その基本ができない理由は何でしょうか。

 食事については、食品のカロリーを憶えるのが面倒、あるいはカロリーを気にして生きるのは嫌だ、というものではないでしょうか。カロリーは、最近購入時に表記されているものが少なくありません。料理本にもカロリーが掲載されていたりします。昔よりはちょっと気にすれば、そこらに情報があることに気づきます。間食を避け、そうしたカロリーを気にするだけでも相当知識はつきます。
 またカロリーを気にして好きなものが食べられないのは嫌だ、というのもまやかしに近い思いこみです。タバコを止めるときに、タバコの吸えない人生なんて、と思ってしまうのに似ています。

ダイエットが成功し、身体がそれに順応すると、食べたいものを食べても勝手にお腹が満腹感を憶えてしまう。それほど食思が向かないことも少なくありません。壁を越えるとき、思いこみの呪縛から解放されるときに、一時的にかなりつらくなりますが、あとはそれほど不都合なことではなくなるようです。むしろ、ちゃんとした空腹と味わいながら食べる習慣は、本来の食べることの楽しみを思い出させてくれます。

 運動については、好きなスポーツを続けることや、スポーツジムに通うことであるとか、誰かと一緒にウォーキングするなどの、楽しさや人を巻き込むパターンの成功率が高いようです。もしくは、通勤を歩いたり自転車を利用したり、エレベーターを使わず階段を利用したりなどの生活の中に運動を取り込む方法も簡便でよいと思います。
 運動はある段階まで行くと、身体が軽くなり、身体の調子が良くなります。その心地よさが後押ししてくれると、続けやすいと思います。

 大切なのは、自分の生活を書き出してみて、食事の内容と運動を客観的に見直すこと。しばらくそれを続けながら考えていると、自分のなりの解決方法が見えてくるのではないでしょうか。人により合う方法は様々のようです。
 身体は楽な方へ‥‥筋力が落ち、太る方向へ向いていると思います。一見、それに逆行することはとても大変な印象もありますが、本来は筋力があり均整がとれている身体は自然なことだと思うのです。多忙や文明、ストレスが不自然な生活形態を生み出しているような気がしてなりません。
 ダイエットを通じて、もう一度、自分なりの自然な生活習慣を考えることは、長い人生において、とても大切で楽しいことだと思います。皆さんからもし良い方法がありましたら、ぜひ私にも教えてください。