「コレステロール」


今日はコレステロールについてです。誤解されながらも、なかなか説明しきれない事柄について書いてみたいと思います。
 なぜコレステロールが高いといけないのでしょうか? 「血がどろどろになって血管が硬くなったり、つまったりするから」 ほとんどの方が答えられるのではないでしょうか。ほぼ正解です。誤解があるとすれば、思われているほど悪者ではない、ということでしょうか。
 実は脳梗塞の原因としてコレステロールが関与している割合はかなり低く、喫煙や高血圧の方がよっぽど大切です。一方で心筋梗塞に関与していることははっきりしています。なったことがある人あるいは危険性の高い人は薬を飲むべきですが、肥満もなく、家系に心臓病もおらず、喫煙もない人は、薬を飲む効果があまり得られないことがあります。
 また指標として「総コレステロール」を気にされている方が多いようですが、これは善玉と悪玉と中性脂肪の合計です。総コレステロールが高くとも、善玉が多くて高い人と悪玉が多くて高い人とでは全く意味合いが異なります。善玉は「HDL」と呼ばれ、悪玉は「LDL」と呼ばれています。LDLが計測されていないことがあります。そんな時は簡易式を用いて調べてみましょう。みるべきはこの「LDL」です。
 心筋梗塞になった、あるいはなる可能性の高い方は、LDLを100以下に下げる必要があります。

これは見かけ総コレステロールが正常値を示すときもあるので、注意が必要です。一方でHDLは60以上にすべきです。これは魚が持っている脂に多く含まれています。
 中性脂肪については、まだはっきりしていない部分が多いのです。同じように心筋梗塞の危険性の高い方は100以上でも害がありますが、そうでない人は300以上でもすぐに内服、とまではいきません。
 まとめると、心筋梗塞の危険性の高い人はコレステロールの薬を、LDLを指標にして内服して下さい。そうでない方はまず禁煙、血圧の治療、食事・運動によるダイエットが大切で、HDLを増やしていくぐらいの気持ちを持って欲しいのです。
 薬を飲むことは安易ですが、副作用もお金も時間もかかるものです。まずすべき生活改善を心がけて下さい。正しい知識を持ち、自分の身体を知ってあげて下さい。

< 心筋梗塞の危険因子 >
喫煙、高血圧、食事のかたより、高コレステロール血症
運動不足、肥満、糖尿病、高齢、家族歴

< 簡易LDL計算式 >
LDL = 総コレステロール - HDL - 中性脂肪÷5