home

IMG_0651.jpg

「足のむくみ」

 足のむくみはよく見られる症状ですが、その原因は様々です。生死に関わる病気が少ないためについ我々も軽視しがちなのですが、本人や家族にとってはとても気になる症状です。反省をこめて、考えられる原因を一通り挙げてみたいと思います。

特発性浮腫

閉経前の若い女性のむくみの、そのほとんどが特発性浮腫と言われるものです。生理前のむくみから始まり、たちっぱなしで悪化する、朝に比べて夕方に症状が強くなる。多くはゆっくりとした長い経過を経ており、日常生活が送れるほどに十分に元気であり、朝方や日によってはまったくむくみのない状態の時もあります。ダイエットをしている方のほうがなりやすいようです。
はっきりとした原因が不明のため、正しい診断は他の病気ではないことから診断をつけるのですが、上記にあてはまっているのであれば特発性浮腫と考えて良いのではないでしょうか。ただ生理が遅れている、嘔気があるなどの症状がある場合は妊娠によるむくみの場合もありますので注意が必要です。

動きの低下によるむくみ

 年齢を重ねてきた方のむくみの多くは、動かないことから来るものか、蛋白不足から来るものが考えられます。病名としてはしっかりつかないので、たんに「浮腫」として扱われています。
 例えば脳梗塞を生じた場合、麻痺した側の足背がぷっくりとむくむことがあります。これは足を屈伸させたり・歩くことで生じる足のポンプ機能がはたらかなくなり、血液がよどんで末端のむくみとなるためです。他にも腰痛や膝の痛みがあって動きが悪い場合や、パーキンソン病などの動きの悪くなる疾患の症状として表れることもあります。また年齢を重ねるとどうしても蛋白摂取が不足します。蛋白が不足すると筋力の低下、あるいはむくみの原因となりますので、お気をつけ下さい。

炎症によるむくみ

 足のいずれかの場所に炎症を生じても足先のむくみとなって現れることがあります。足の指間に感染を起こして周囲が腫れる場合のほか、膝の関節炎や大腿の感染でも、やはり流れが悪くなることが誘因でしょうか、足先のむくみとなってあらわれることがあります。指の間はどうか、関節に熱感や腫れはないか、鼠径のリンパ節は腫れていないか。診察時に一度は調べた方がよいでしょう。壊死性筋膜炎という恐ろしい感染症もあります。激痛を訴える場合は、この病気を思い出す必要があります。

下肢静脈瘤

 静脈により紫色に各所がそまり、むくみ、かゆみや痛みを生じている場合、下肢静脈瘤によるものが考えられます。足にはもともと逆流防止の弁が血管内にあります。これが壊れてしまった場合、心臓に戻るべき血液が逆流して足先の血管にたまってしまいます。血液がたまった血管はふくれあがったり、蛇行したり、複数の細い血管を作り出したりします。これが黒ずむというか、紫に染まる原因です。また血管は拡張するとかゆみを生じます。ひどいものでは痛みを生じることもあります。
 

肝、心、腎

 むくみがあるときにまず検査を受けるのが、この3つです。実際にはそれほど多くはないのですが、見つかった場合には治療が必要なため、かかすことができません。どの3つもそれなりに状態が悪くなってからはじめて症状としては出現します。肝臓が悪くてむくみを生じる場合は、お腹もすでに腹水ではれていることが多いでしょう。心臓の場合は脈が速くなり、坐った状態より横になった方が息苦しいといった特徴があります。腎臓はむくみしか症状がない場合も多く、検査が必要です。血の検査、胸部レントゲン、尿検査、腹部のCTか超音波で診断がつきます。

腹部の腫瘍

 お腹に癌があったとき、リンパの流れが遮断されてむくみを来すことがあります。両足とも均等に、と言うよりは癌が関与している側からはれてくることがおおいでしょうか。腹部CT検査が必要です。

深部静脈血栓症

 長時間のバス旅行や手術後の安静など、長いあいだ坐っていたり横になっていたりすると、足の血液の流れが悪くなり、血管内で血液が固まってしまうことがあります。これを深部静脈血栓症といいますが、動き始めたときにその血液の固まりがとんで肺にはいると、「肺梗塞」といって命にかかわることがあります。足に痛みがあったり、足の筋肉をもむと痛みが強くなり、熱を持ち、むくみは押しても圧痕が残りません。片足に生じることが多く、左側は右側の2倍多いといわれています。超音波によって血管を検査します。

内分泌疾患

 甲状腺機能低下症では、足に圧痕を生じないむくみとなります。元気がなく、疲れやすい、便秘や低体温、脈が遅いなどの症状を伴います。ゆっくりと症状が進行しますので気づきにくいかも知れません。甲状腺ホルモンを検査して診断します。

アレルギー

 飲んだもの・食べたもの、あるいは虫刺されなどにより、激しいアレルギー反応を示す場合があります。激しいものほど摂取してすぐに反応があらわれ、息苦しさや血圧低下などの激烈な症状を認めます。もっとゆっくりのアレルギー反応としては、例えば蜂に刺された場合の多くは1~2日かけて腫れが広がることがありますが、そのごゆっくりとひいていきます。好酸球性血管性浮腫という病気は、若い女性の圧痕を伴わないむくみで、血液検査で好酸球が上昇している場合はこの疾患が疑われます。

薬物

 解熱鎮痛剤、降圧薬(Ca拮抗薬、β-遮断薬)、エストロゲンなどの薬でも生じます。飲んでいる薬を止めてみて、改善するかどうかを試します。

 細かく見ればまだいくつかの原因が考えられますが、ほとんどがこの中のどれかにあてはまると思います。十分に症状と経過を検討し、足を隅々まで眺め、その上で疑わしいものの検査をしていきますので、ご心配な方はお声をおかけ下さい。